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レジェンド鈴木が日々感じたことを哲学するブログ。書評、エッセイ、ポエムも書いてます。

日清戦争終焉、伊東祐亨が贈った友への手紙に涙する…。

坂の上の雲 一」昭和44年の書籍を読んでいる。明治維新後の日本の欧米化、文明の発展はものすごい。中でもドイツ(当時プロシア)から学んだ陸海軍の戦術、それに日本人らしさを加えた軍事力は強さを増す一方だった。

伊東祐亨

以下、日新戦争中、連合艦隊司令長官伊東祐亨(いとうすけゆき)が、清国の提督・丁汝昌(ていじょしょう)に、贈った手紙は涙無くして読めない。

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 つつしんで丁提督閣下にに呈する。時局のうつりかわりは、不幸にも閣下をしておたがいに敵たらしめるにいたった…

 しかしながら、今の時代の戦争は国と国のあいだの戦争であり、一人一人の反目ではない。だから僕と閣下との友情にいたっては依然として昔ながらの温かみを保っているものと信ずる。

それゆえに閣下はこの書を保っているものと信じる。それゆえに閣下はこの書をもって単に降伏をうながす性質のものとうけとらず、僕の心のいま深く苦しんでいる所を洞察し、それを信じて読んでくださることをこいねがう。


 貴国の陸海軍がいま連戦連敗しつつあるのは、おもうにその原因するところはいろいろあるとしても、そほ本当の原因はおのずから他にある。(軍隊統率以外にある)。このことは心を平らかにして観察すればたれしもが気づくところであり、閣下の英明をもってすれば百も承知であろう。

 もとより一、二の君臣の罪ではない。制度が悪いのである。…(後略)

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伊東はすでに志気が下がり、連戦連敗する清国・丁汝昌に降伏を求める手紙を出した。もともと彼らは旧知の仲であり友であった。国が違うためにこのような運命をたどり、敗戦する相手のプライドを傷つけることなく、被害を最小に抑えたい、という伊東の温情を感じる。歴史上、ここまで情け深い将がいたであろうか…。
その後、丁汝昌は艦隊戦敗北の責任をとって自決することになるのだが…。


当時の清国は巨大さと、永い王朝文化を引きずるが故に、愛国心がなく腐りきっていた。世界有数の巨大艦隊を持ちながらも、その武器を使いこなすことができず、日本という小さな島国に完敗した。今の日本の政治、官僚、大企業、自治体…人は当時の中国と同じような過ちを、繰り返しているように見えてならない。


リアルアイディ