Real Blog

レジェンド鈴木が日々感じたことを哲学するブログ。書評、エッセイ、ポエムも書いてます。

第5話『厳冬の日、一杯のお茶』〜もしも、あの時お前が俺で、俺がお前だったなら… 〜

俺が沖野と再会したその日、牛込中央通り沿いにある喫茶店でお茶をした。今、アイツは一緒に入社したB社で出世し、法人営業部の課長になっていた。B社は埼玉本社なんだけど、法人相手ということで東京市ヶ谷のオフィスに居を構えたらしい。

 

 

それを聞いて、東京で沖野とばったり出くわしたことに納得した。しかも俺の会社オフィスから徒歩10分くらいのところ。こんな奇遇があるんだなって、思ったよ。

 

 

その時アイツと話したことはあまり覚えていない。唯一覚えているのは、B社で100人くらい居た同期入社メンバーも、今はほとんど残っていない、って話くらい。その時はたわいも無い話をしてお互い別れた。まぁ、10年経っても昔のわだかまりがあったんだろうね。

 

 

それから半年後…。ある冬の寒い日、俺は飯田橋駅からオフィスにある市ヶ谷まで、外堀通り沿いを歩いていた。歩いているだけで足の指が寒さで痺れてくる。あれから気にはなっていたけど、 ここにアイツのオフィスがあるんだよな…。いつもそれを知りながらそのオフィスの前を通り過ぎていた。

 

 

しかし!あまりにも寒い、寒すぎる。少し勇気を出して、そのビルに入りB社の受付でピンポンを押してみた…。同じ法人営業部の男性が現れた。「すみません、HIROと言います。沖野さん居ますか?アポイントは取っていません…」

 

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するとすぐに沖野が現れ、違うフロアの商談室に通してもらった。その時もらった一杯の熱いお茶がうまく、かじかんだ身体にしみこんだ。

 

 

たまたま、その時間帯は来客予定があったがキャンセルになり、沖野は空いていたとのこと。

 

 

そして、アイツが切り出した言葉は…

 

 

「ところで、HIROちゃんさぁ、今俺たちこういった法人むけに営業してるんだけど、うまい営業策は無いかなあ?」

 

 

「あるよ!」

 

 

俺は即答した。起業して1年半、ほんのひとかけらのビジネスチャンスをつかんだ瞬間だった…。

 

 

つづく