Real Blog

レジェンド鈴木が日々感じたことを哲学するブログ。書評、エッセイ、ポエムも書いてます。

09『 バスケの神様と少年 』 〜あの時、僕は〜

2018・3

「うぉーっ!、ナイっシュー!ヒサ!」

 

5年生大会最終日、順位決定戦。この大会で一番の声援は、
4年生ヒサのプレイに注がれた。

 

本大会最後の試合、ヒサは2Qに出場して6得点をもぎ取った。

 

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 ヒサはいつも試合に出ている訳ではない。
頭が良くて一番声の大きいヒサ。
いつもはベンチではスコア係として、ゲームを支えてくれている。
時には後輩にスコアの付け方を教えながら、また自らスコアを付けながら一生懸命声を出している。

 

彼は他の子よりも決して運動が出来る訳では無い。
だけど誰よりもバスケが好き。

 

少し前まで体調を崩して休みがちだったヒサ。
今回の5年生大会では予選を通して試合出場の出番は無く、ベンチでのスコア付けと応援に徹していた。

 

5年生大会最終日、そんな彼にチャンスが回ってきた。
彼は試合に出られると思って無かったのかもしれない。
試合の前日も家に帰るとすぐに、ゲームのスコア書きを一人黙々と
練習していたという。

 

まずは、左45度からのミドルシュートを冷静に沈める。
そして速攻では確実にボールをキャッチし、追いついてきた
デフェンスとワンテンポずらした後、冷静にシュートを決めた。

 

そして極めつけは、前日に散々練習したが、今日だれも決めることが出来なかったエンドボールからのセットプレイを確実に決めた。しかもバスケットカウントで。

 

他のチームから見れば、うまい子からすれば、それはただの速攻ノーマークシュートであり、ただのセットプレイに見えただろう。

 


それは全て基本的なプレイで、決して派手なプレイではない。
だけど、今まで上手くは出来なかった彼が決めた。
ただ、それだけのプレイがチームを熱くさせた。

 

これは後日談となるが、最近体調を崩していて、体力や運動量が他の子よりも劣るヒサは、夜お母さんと一緒に学校の周り走っていたという。

 

今の上木ガッツは他のチームと比べ、バスケが決してうまいチームでは無い。一人一人の身体能力が高いわけでもない。

 

上木ガッツにエースは居ない。
そして努力している子には必ずチャンスがある。
大会終了後、コーチが子供達にこう伝えていた。

 

「努力は裏切らない。そしてバスケの神様は本当にいたんだ、君たちの努力をちゃんと観ていたんだ!」と。

 

きっと気まぐれなバスケの神様。そんな神様は、熱い想いを持った少年にほんのひと時微笑んでくれた…。